● 眼の保護
Bell麻痺の治療として忘れがちなのは眼の保護。重症で閉眼を閉じれない場合、眼球の乾燥にともなう失明のリスクがある。そのため、人工涙液(つまりは目薬)の使用、夜間のゴーグル使用や、眼をテープで閉じるなどの方法がある。
まあ、眼の乾燥に一般的な処置としてすでに普及している状態で、Bell麻痺の時に眼の保護がいるかどうかのRCTするとか非倫理的ですし、眼薬の副作用の少なさなどを考慮するとスタンダードな必要な治療でしょうか。ちなみに学会の指針などは、、、
AAO-HNSF Guideline
* American Academy of Otolaryngology-Head and Neck Surgery Foundation
"Eye Protection for Bell's palsy patients with impaired eye closure"
Strong Recommendation based on expert opinion.
日本顔面神経研究会
“診療の指針”の中に書いてた気がしましたが、見つからなかったので省略
● 急性期治療
Bell麻痺の治療は急性期、慢性期、それと後遺症(表情筋の拘縮など)に対する治療に分かれる。急性期の治療としてはステロイドが使用され、抗ウイルス薬も場合によって使用される。
Bell麻痺は、発症して1週間でよくなるといった病気ではないものの、予後はよく半年程度もたつと7割近くの人は自然治癒する。また、ステロイドを使用することで、9割近くが発症半年で治癒する。抗ウイルス薬は9割近い治癒を数%あげるかどうかの効果しかなく、重症例の場合のみ使用される。(日本顔面神経研究会では表情筋スコアで40点法で8点以下の場合に使用推奨)
AAO-HNSF Guideline
Oral Steroid: Strong recommendation based on high quality RCT with a preponderance of benefit over harm.
Additional oral Antiviral therapy: Option based on RCT with minor limitation and observational studies with equilibrium of benefit and harm.
● 慢性期治療
リハビリ。Bell麻痺の7−9割近くはステロイドでほとんど治るので、全員には不要。関連論文としてはPhysical therapy for Bell's palsy (idiopathic facial paralysis) Cochrane Database Syst Rev 2011 Dec7;(12):CD006283など。現状ではHigh QualityのRCTなどがなく、効果について評価は難しい状態。各種ガイドラインだと
AAO-HNSF Guideline
No recommendation can be made regarding the effect of physical therapy in Bell's palsy patient, based on case series and equilibrium of benefit and harm.
日本顔面神経研究会
推奨グレード C1、根拠に乏しいけどやったら、という感じか。発症3ヶ月以内の強度の粗大運動は後遺症を誘因するので避けた方がよい。
実感としてはリハビリで後遺症を予防できるかは分からないが、どのような後遺症をどう出すと患者のQOLがよくなる/ならない、ということも考慮したリハビリは、患者にとってメリットだと思う。リハビリの方法については、ある程度の知識のある顔面神経外来で行うのがBetterと思うので省略。参考まで下記
抹消性顔面神経麻痺の患者さんのためのサイト(手稲渓仁会病院、古田康 先生ら)
● 後遺症治療
ボトックス、希望があれば。
2014/01/06 更新
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